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~a thin line between junks and masterpieces~

2013年7月16日火曜日

Kettle's yard--ケトルズヤード






イギリスのケンブリッジ駅から徒歩約15分の場所にあるケトルズヤードは、
芸術が日常の生活に溶け込んだ暮らしを実現する為に
つくられた建物で、地下のスペースから
屋根裏部屋迄の4つのフロアで構成されています



元々は、ベン ニコルソン、ヘンリームーア等,20世紀初期を代表する
若手アーティストを中心に優れた才能を発掘してきた
テートギャラリーのキュレーターとして働く
ジム エイダ氏(Jim Ede)16年間夫婦で暮らした自分の家を
ケンブリッジ大学に寄贈、今日では一般の人のために
開放され、様々なイベントも行なわれる特別な場所になっています


ドアベルを押して中に入ると、彫刻や絵画等の20世紀初期の
モダンアートが石ころや木片等自然のオブジェと調和しながら、
明るい空間の中、さりげなく飾られています。

大小様々な部屋の各空間を最大限に使う工夫やアイデアに満ちていて、
どの部屋も見とれてしまう程。そこにいるだけでリラックスでき、
同時に感性を刺激される贅沢な場所です。








自然のオブジェとアートが共存する暮らしの
素晴らしさを体感出来ます。




置いてあるもの一つ一つに目が釘付け


鑑賞者と作品との境界線が全くない展示方法





建物奥には書籍を自由に閲覧できるスペースに
なっていて気に入った本を眺める事も可能


屋根裏部屋には沢山のドローイングが飾られています

ギャラリーでも美術館でもない、自分の家の様に和める環境の中で
アートを楽しみたいというコンセプトが伝わってきます






様々な観葉植物が飾られる明るい窓際










2012年の春に訪れた際にもらった
ケトルズヤードのパンフレット




ケトルズヤードでは
英国の画家アルフレッド ウオリス(Alfred Wallis1855--1942)の
船の絵が数多く見られます。
ウオリスはイギリスのコーンウオールのセントアイブス島で
漁師や船員として長く暮らし,最愛の妻を亡くした晩年から、彼の暮らしと
切っても切れない船、ボートを題材に独学で絵を描き始めました


たまたま旅行中の画家ベンニコルソンらがウオリスの家の前に
飾られていた彼の油絵を目にした事から発掘された才能だそうです






ケンブリッジに行く機会があれば是非おすすめの場所です








以下は ケトルズヤードのサイト


コチラではヴァーチャルで館内の様子が体験出来ます




Kettle’s Yard ケトルズヤード

House&Gallery, University of Cambridge
Castle Street, Cambridge, CB3 0AQ
www.kettlesyard.co.uk
火曜~日曜13:30-16:30
入場無料
館内を写真撮影したい場合は1ポンド支払い必要



2013年7月2日火曜日

Andrew Murray's London






90年代後半、ロンドンのお土産物屋さんでよく見かけたのは
アンドリュー   マレー (Andrew Murray 1917-1998 )の ペインティングを使ったポストカード等。




こちらは1996年のカレンダーなのに、どうしても捨てられない、、

 knightbridgeにあるデパート、ハロッズ



ウエストミンスター寺院



通常、ランドスケープ絵画というと表現力やテクニックの凄さに圧倒されて
近寄り難いものを感じてしまうのですが、アンドリュー の場合、
旅行者の様な新鮮な眼差しを失わず、見たものを感じるまま素直に、
そして何より楽しんで描いている姿勢が絵から伝わってきて、
眺めているだけで朗らかでノホホンとした気分になります。



空にぽっかり浮かぶ個性的な形の雲の下には
ロンドンを語るに外せないアイコニックなモチーフがテンコ盛り。
そこを訪れた事のある人なら親近感や懐かしさを感じずにはいられない筈





愛情たっぷりかけて描かれたロンドンの風景画の集大成の本がこれ。


Andrew Murray's London (Blackie-1980)



この本のあるプロフィールによると、
1917年、中国天津生まれ、南アフリカで長くジャーナリストとして働いている間の30代後半から
独学で絵を描き始め、50代から画家業に専念していたとの事。
主にパリやケープタウン等、彼の住んでいた街を絵のモチーフにする事が多かったが、
ロンドンに魅せられてからは、この地を生活と制作の舞台に絞って活動していたそうです。







夕刻時のサウスバンクから国会議事堂を眺めたシーン

ツーリストと車でごった返すピカデリーサーカスのエロスの像付近

いつも賑わうポートベローマーケットのストール




現実のロンドンときたら曇天続きの憂鬱な天候のもと、
殺伐とした場面に出くわす事も多々あったので
この本の中のユートピア化された風景と
本来の姿とのギャップを感じない訳ではないですが
家の中で紅茶を啜りつつ 楽しむバーチャルなロンドン観光には
もってこいのナビゲーターと言えます