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~a thin line between junks and masterpieces~

2014年12月11日木曜日

Ladybird Book シリーズ

レトロな雰囲気で、未だに人気の高い
 レディーバード ブック シリーズ



"Toys and Games to Make"

1940年代、第二次世界大戦中に子供の為の教育本のシリーズとして
出版されたポケットサイズの薄い本。以前ご紹介した ”パフィンピクチャーブックス”
ライバル的存在。イギリス人なら誰もがこれらをみて大きくなったと言えるでしょう。

フィクション、ノンフィクション、有名人の伝記、おとぎ話や童謡、ハウツー等、
本の内容は様々で、当時の生活を彷佛させるノスタルジックなイラストレーションを
ふんだんに使って独自の世界を築いています。
近年、文房具のデザインとして復活し、イギリスの雑貨屋さん等にも並んでいます。
何十年たっても、このレトロなデザインが新鮮でオシャレに見えるのが凄い。

戦争の為、50年前のものは滅多にお目にかかれず、、現在では、初版のバージョンは、
コレクターの間では高価で売り買いされているそう。
それ以外の復刻版はフリーマーケットやチャリティーショップでもよく見かけるので
ビジュアルや内容が気に入れば集めていきたいシリーズ。






"how to make puppets "
身近にある物を使って遊ぶ簡単で面白いアイデア満載!









クリスマスにピッタリの工作エンターテイメント!







この本もぼろぼろだけどお気に入り!
 "Tootle The Taxi and Other Rhymes"


いろんな乗り物についての
韻文で作られたナーサリーライム。








全ての乗り物は蒸気機関車トーマス同様に顔と名前が付いてます。











こちらはロンドンについての本。

その名もズバリ"London"

この風景も50年前も今も殆ど変わっていないな〜







ロンドン動物園の場面











100円くらいで買えるのでついつい増えます。







こちらはビレッジに必ずある教会にハマっていた頃、愛読してたもの。
チャーチの尖塔の形やデザイン一つにもその意味や歴史が秘められているとか、、
子供向けの簡単な言葉とイラストレーションで
説明されているので英語の教材としても使えます。



"What to look for outside a church"










ゲームやインターネットに浸っているイマドキの子供たちには
どう映るのかは定かではないけれど、、


2014年10月2日木曜日

tumblr始めました



イラストの作品をまとめてみようとtumblr始めました。
巷ではtwitter, Facebook,note,pixivなどなど、、きりがない程いろんなものが
ありますが,比較的操作がラクでマメでなくても続けていけそうなのが
このtumblr。あ〜,世の中のペースにあわせるって大変だ、、

2014年9月24日水曜日

イギリスの立体絵本               ーブッカーノ ストーリーズ その2



ブッカーノ ストーリーズは1934年から1950年迄イギリスで作られた立体絵本。
1年に1度のペースで出版されていた定番のブッカーノ シリーズとは別のラインで
アンデルセンのおとぎ話や有名なおとぎ話、キリストの誕生等、いろいろなテーマの
立体絵本も、生み出してきました。


中でも人気の高いのがこのABC本で、その名の通り、各アルファベットにちなんだオブジェが
ページを開く度、3Dで浮かび上がる仕組み。シンプルな仕掛けですが、洗練された上質な
イラストレーションとブックデザイン。



ABC IN Living Model Bookano SeriesDairy Express1933

この本81歳、、年季がはいってます。


L Lion, N Nurse, O Owl, P Pig,








H HorseI InnJ Jack、、という様に音と形で認識出来、
目と耳を使って子供たちが楽しく学べる様になっている。
こんな教科書で英語勉強出来たら楽しく身に付くだろうな〜





こちらは動物の生活を紹介した立体本。
動物に関する意外な事実やストーリーが迫力ある立体モデルと共に
紹介されています。各動物の特性を立体的に示したオブジェは
それらの特徴や暮らす環境も上手く表現しています。


Bookano-Animal Life
Animal Life in Fact and Fun Living Models(1939)

お弁当箱サイズの本を開けると 迫力ある動物達が次々と登場!


 過酷な砂漠の中で人の為に 従順に働くラクダくん。






 厳しい氷河の中で暮らすシロクマさん達






巨大な身体とパワーを持っているのに人に服従し、仕事をこなす象。
辛抱強く忠実な性格。見習いたい、、、








野生動物のキングといわれるライオンは堂々とした風格です。



知り合いのイギリス人のおじいさんは最近
ブッカーノシリーズを大人買いしているそうです。
子供だった当時、かなり高価で親に買ってもらえず
その悔しさからイギリスのブックフェアにまめに足を運んでいるそう。
気持ち分かる、、、





2014年9月18日木曜日

ミニ絵本、ブリーちゃん


作品を見た人々の投票で結果が決まる”皆でつくるミニ絵本”コンテストに現在参加中です。(10月末迄)
ここクリックすると日本中から出品された
合計25点のバラエティー溢れるミニ絵本がウエブ上で楽しめます。
お時間があれば、是非ご覧になって気に入った作品に投票して下さい。

私の作品は”いじわるブリー”、コママンガで構成したミニ絵本です。

2014年7月13日日曜日

イギリスの立体絵本               ーブッカーノ ストーリーズ




ブッカーノ ストーリーズは1934年から1950年迄イギリスで
1年に1度のペースで作られた立体絵本。
第一次世界大戦の影響で、質の高いドイツ製の立体絵本を
輸入出来なくなった事情から、イギリス国内で優れたものを目指して
作られたのがブッカーノシリーズの始まり。

ブッカーノという名前は当時、子供の間で流行した組み立て式玩具、
メカーノに由来しているそう。確かに遊べるオモチャの様な絵本です。
ロンドンで開催される骨董&ビンテージ絵本のフェアで
見かける度、高嶺の花と購入は諦めていたブッカーノシリーズも
近年、インターネットオークションe-bayのお陰で英国では、
気軽に取引される様になりました。

こちらの本は帰国前に3冊まとめてゲットしたものです。





Bookano Stories no14
(Strand Publications 1947)
編集 S.Louis Giraud



縦22センチX横17センチ、約30ページ、厚さ3センチの中には子供向けの
20編ほどのストーリーが納められ
幾つかのシーンが立体で現れる仕組み。中には生命を得たかの様な
動きを見せる物もあって、ページを開く度、驚かさます。





イギリスの休日に突然開催される移動遊園地についての
"Fair Fare"という短編には心躍る遊園地が立体化。


戦時中だった事もあってコスト低めの印刷技術だったそうですが、
今見ても発色が鮮明できれい。約70〜80年前の本とは思えません。


●回転木馬のポップアップ拡大図●
芸が細かいです。




とは言っても、当時の子供の落書きやら修復出来ない程の
ダメージもあったりなんですが、、、





"Castle Revelation"から


歴史的建造物好きなら嬉しい内容です








Bookano Stories no16
(Strand Publications 1949)







“the River gateway to London"という短編の中に
突如姿を現すタワーブリッジ

橋の中央が持ち上がる仕組みも3Dで忠実に再現してます。








Windmills(水車)というショートストリートのページを開けると
美しい田園風景の中に水車とコテージが浮かび上がる仕掛け




Bookano Stories no17
(Strand Publications 1950)


"the story of the Tower of  London"という
ロンドン塔についての話の中に現れるホワイトタワー




今も昔も変わらぬシンボリックな建物です




最後は
”the buffle headed muffin"というタイトルの短編の中から〜

マフィンという鳥の餌を横取りする賢い猿のクランペの話
マフィンのクチバシが鋭くクランペを攻撃します





子供の為に作られたとは思えない程、見応えある立体絵本。

昔のオモチャや絵本って 質が高くて贅沢だな~

2014年5月24日土曜日

ブリスツヒル博物館(Blists Hill − Victorian Town) 



19世紀から20世紀にかけてのヴィクトリア時代(1837-1901)の街並と生活をリアルに
再現した屋外ミュージアム

産業革命を起こし大英帝国として、その存在を世界的に認めさせ
たイギリスの黄金期、ヴィクトリア時代。
アートや工芸品好きだったヴィクトリア女王の趣味が反映されたかの様に
あらゆる分野で良質のモノやデザインを生み出しました。

例えば上流階級の人々の為のフォーマルなドレスも素敵ですが、
労働者階級の人々が着ていたシンプルな衣服ー素朴なワンピース、
シャツ、ジャケット、ベスト等は今見てもベーシックで
飽きのこないものばかり。現在でもオシャレなスタイルとして通用しそう。
それ以外にも当時の建築物や生活道具など、まさに骨董品そのもの!
新しい物には決してない風格とクオリティーの高さにホレボレします。



そもそもヴィクトリア時代の生活に興味惹かれたのは、
イギリスのBBC2で放映されていた"ヴィクトリアン ファーマシー"という
(Victorian pharmacy)番組をみてから。



”Victorian pharmacy”
Jane Eastone 
Palilion社出版


単に薬を売るだけでなく,植物や動物、昆虫等を使ったワイルドな方法で治療も
していたという当時の薬局の役割を紹介するユニークなもの。

その内容もさることながら、番組に出てくる人のファッションや
クラシックな薬局の店構え、そこに並ぶ日用品や道具の美しさに目が釘付けになったから。


”Victorian pharmacy”から


ブリスツヒル博物館がこの番組の撮影現場ときけば、足を運ばずにはいられない。
それで日本帰国直前に出かけてみたのです。

場所はウエールズとの境に位置するShrewsbury---シュルーズベリー-.
中世の建物が並ぶ美しくのどかな町から更にバスで1時間、、
ちょっと不便な場所にあるのが玉にきずですが、
何とか,到着。予想を超えた内容の充実さにすっかり興奮!



広い敷地には、靴屋、肉屋、パブ、雑貨屋、銀行、キャンドル工場,小学校等、リアルに再現し、
中にはヴィクトリア時代から抜け出してきたかの様な売り子さんが接客してくれるます。

実際にかまどで焼かれたパンが買えたり、キャンドル制作の工程を見たりと、
ハイテクな現代の生活とはかけ離れたヴィクトリア時代の暮らしぶりから
沢山の貴重な体験が出来ること、まちがい無し!





 


”Victorian pharmacy”から




蒸気を使ったメリーゴーランドを始め、簡易遊園地も設置されています。


なんて可愛らしいベットカヴァー!



ユニークな所は単なる展示だけでなくスタッフの人は
ヴィクトリア時代の人そのものを演じきってるところ。


コテージ風民家を再現。
実際に調理し観光客の前で食事しているマイペースなお方


ドレスメーカーの店

薬局

見学の子供も目を輝かせてました。


すぐ側にある
世界初の鉄橋世界遺産として登録されている
この鉄で出来た橋The Iron Bridge(アイアンブリッジ)は、
ここからほど近い場所にあります。


シュルーズベリーにくる機会があるなら
是非お勧めの場所です。




住所:Legges Way, Madeley, Telford, Shropshire TF7 5DU, United Kingdom
http://www.ironbridge.org.uk/our-attractions/blists-hill-victorian-town/


2014年4月1日火曜日

Nessie the Mannerless Monster

スウィンギング60S'で知られ、若者のエネルギーや才能が一挙に花開いたイギリスの60年代。
音楽,ファッション、アート界同様、絵本の分野でも,開放的で型にはまらない作風が目立つ中、
Gerald Rose(1935- ジェラルド ローズ)の手がけた絵本は感情のままに描いた自由な線や画風で、
独自の世界を確立し、今も輝いている様な気がします。

英国桂冠詩人 Ted Hughes(テッド ヒューズ)がスコットランド名物の幻のネッシーを題材に作ったこども向けのお話に
ジェラルド ローズ痛快な絵を描いて出来たもの。ネス湖で孤独に暮らすネッシーが、
自分の存在を知ってもらいたいと決意し、出かけたロンドン迄の珍道中を描いた絵本です。


Nessie the Mannerless Monster(Faber&Faber 1964) 作 Ted Hughes






扉絵





何も悪い事をしていないのにネッシーの存在に人々はパニックを起こします。






町はゴーストタウンの様に静まり返り、、







旅の途中、悪人に捕まったり,反戦運動に巻き込まれたりと
波乱に満ちた展開。







ページを追っていくとネッシーと一緒にロンドン観光をしている様。
ここではバッキンガム宮殿前で衛兵達と一戦のシーン
モノクロの線画のページもあります



ラストは、若かりしエリザベス女王と仲良くアフタヌーンティーを楽しむシーンで締めくくられます


ジェラルド ローズは90年代に再度この絵本をリメイクして
2バージョンの絵本が出版されていますが、個人的にはこっちの絵本がお勧めです!




2014年1月30日木曜日

”不思議な国のアリス”




その誕生から約150年経っても色あせる事無く
世界中で支持される”不思議の国のアリス”

絵本もいろんなバージョンで出版され続け
数えきれない程の沢山のアリスが誕生していますが
私のお気に入りはこの絵本



  • 絵:Morits KennelPhaidon1975)
  • 作: Lewis Carroll









本文140ページ、70の見開きページの半分のスペースにイラストが
配置されていて、まるで画集の様に見応えがあります






お茶会のシーン

裁判のシーン

6070年代をメインにアメリカを始め,ヨーロッパでも多くの絵本を手掛けた
Kennelさんリズミカルで楽し気なイラストレーションは
ロンドンのセシルコートの古本屋のウインドウで目立っていました。




こちらはポップアップブック



絵:J.Pavlin(Brown Watson1973



パブリンによる立体絵本は、チェコの優れた3Dブックで定評あるArita社の絵本を
英国で出版したもの。他にもいろんなおとぎ話の
立体絵本があり、イギリスのブックフェアやたまに
チャリティーショップ等でも見つかります
切り込みから生まれる単純で素朴なポップアップの仕掛け





アリスと言えばジョン テニエルの絵、
こちらは テニエルの絵を使ったポップアップブック


パンチ誌で、活躍するジョン テニエルの描くイラストレーションを気に入り、
キャロル自身がテニエルにアリスの絵本の挿絵を希望したと言われてます。


Jenny Thorne&John Tenniel
Macmillan Publishers 社(1980年







忘れてはいけないのは
ルイスキャロル自身の描いたアリスの絵の素晴らしさ




キャロルの手によって作られた絵本”地下の国のアリスの冒険”から〜

物語のモデルになった20歳年下のアリス リデルにクリスマスプレゼントとして贈る為
一年半かけて作ったと言われています


話を作り,挿絵も描き、レイアウトデザインもこなす、まさにブックアートの最高傑作!